ヨシタケシンスケさん 生い立ちや経歴:絵本作家になるまでの職歴や現在の活躍:家族は?妻はどんな人?絵本作品の紹介
絵本作家として活躍しているヨシタケシンスケさん!
私がヨシタケシンスケさんの作品で最初に出会ったのは『おしっこちょっぴりもれたろう』。
テレビを見ているいるときに紹介されていました。
タイトルの面白さと、今売れてます!、との言葉につられ即購入。
購入してわかる、その面白さ。
絵本全体を通して感じる「ユーモア」と「ゆるさ」
主人公を取り巻く登場人物(例えばお母さん)の表情も含め、クスッと笑える何とも言えない心地よさ。
ヨシタケシンスケさんの作品をもっと読みたいと思うのに時間はかかりませんでした。
日常のごくありふれた出来事を、まじめに向き合って取り上げ、絵本にしていく。
作品はどれも、フフっと笑ってしまいます。
とっても奥深いことを言っているんだけどちょっとゆるい絵が、重くならず、すーと心に入ってくる絶妙なバランスを持っています。
しっかり描くというよりは、マンガっぽいイラストなのも魅力です。
そんなヨシタケシンスケさんですが、一見するとちょっと強面(こわもて)!(すいません!)
でも、TV出演してお話ししている姿は優しいちょっと気弱なお父さん。
そんな絵本作家のヨシタケシンスケさんとはいったいどんな人でしょうか?
その生い立ちとプロフィールをまとめてみました。
目次
ヨシタケシンスケさんの生い立ち
ヨシタケ シンスケさんの本名は「吉竹伸介」さんです。
神奈川県茅ヶ崎市に生まれ、兄妹は姉が1人、妹が2人。
子こどもの頃は、友だちはあまり多くなく、おとなしい性格。
2つ上のお姉さんは勉強も絵も得意で、お姉さんには敵わなかない、と思っていたそうです。
それでも工作で作ったものは、お母がとてもほめてくれたことがうれしくて、物を作ることが好きだったそうです。
子どもの頃は、主体性がなく、はっきり自分の夢を持っていませんでした。
なので、小学生の時、自分の夢を書くのが嫌でした。
高校受験の時も、先生に言われたからそこに行く、という感じでした。
願書を出しに行く日までその高校の場所を知らないくらい、という主体性のなさ。
それでも前に進んでいくのは、ヨシタケシンスケの生まれ持ったパワーなのでしょうね。
落ちこぼれることも、問題を起こすこともない、印象のない生徒だったヨシタケ青年は、怒られるのがとにかく怖く、親や先生を困らせることはほぼしない生活をしていました。
怒られたくない、迷惑を掛けたくない気持ちというのは、私も同じ気持ちで過ごしていたのでよくわかります。
思春期は少なからず人とのぶつかることを経験しながら成長する時期なのに、人に言われたまま育っていく自分はどうにかなってしまうような恐怖を感じていたそうです。
大学受験の際は、美術系の大学に進みたいと思っていたけれど、そのためにアトリエに通ったり絵の練習をしなかったので、美術系大学はあきらめかけました。
ところが、美大と普通の大学の中間のようなところもあることを知り、美術部の顧問の先生に相談したら、「筑波大学は入試にデッサンがないから受けられるんじゃないか」と教えてもらい、筑波大学芸術専門学群を受け合格しました。
大学では、プロダクトデザインや映画の小道具やドラマのセットのような物作る面白い世界を知り、量産するデザイナーになるよりは、何かお題をもらって物を作るという職人的な作業が良いと思うようになりました。
こうして、絵本作家ヨシタケシンスケさんの基礎は育っていったのですね。
(参考:「新・あの人に聞きたい 私の選んだ道 『進路指導』(公益財団法人日本進路指導協会刊)」より)
ヨシタケシンスケさんのプロフィール
ヨシタケシンスケさんは、イラストレーターで絵本作家!
1973年神奈川県茅ヶ崎市生まれ。
茅ヶ崎市内の中学、高校を卒業。
筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。
大学卒業後、ゲーム会社に就職しサラリーマンとして働くも、会社で働くことが合わず半年で退社。
1998年に大学の仲間たちと共同アトリエ「スタジオビッグアート」を結成。
2007年に「PANTOGRAPH(パンタグラフ)」と改称。
立体造形を得意とするクリエイティブユニットとして幅広い分野で活動。
その後、イラストレーターとして挿絵の仕事などをしています。
この頃は、なかなか苦労をされていたようです。
そして、2013年、40歳のときにブロンズ新社から
初めてのオリジナル絵本作品『りんごかもしれない』を出版!
『りんごかもしれない』はMOE絵本屋さん大賞第1位、
第61回産経児童出版文化賞美術賞などを受賞。
その後、数多くの絵本を発表しています。
奥さんは吉竹祐子さん
ご家族は、中3と小4の男の子(2021年8月現在)
ヨシタケシンスケさんは絵本を書いていますが、実は絵は線書きのみで、彩色は専門の方が担当しています。
奥付を見ると、「彩色・デザイン」を担当している方が載っていますね。
ヨシタケシンスケさんの写真を見ると、
その服装は、坊主頭に紺色のTシャツ、カーキのズボンで一貫性?があります。
アップルのスティーブ・ジョブズみたいですね。
このスタイルは、迷わなくて済むのが楽だから!という理由で、数年間ずっと同じだそうです。
現在は生まれ育った茅ヶ崎に住んでいらっしゃいます。
ヨシタケシンスケさんは茅ヶ崎を次のように評しています。
改めて、茅ヶ崎独特ののんびりした感じ、海沿いの町独特のいい意味で
油断している、そんなちょっと珍しい空気を感じている。
海も近いので、子どもを連れて散歩に出かけたり、江の島に行くとTHE観光地!
近いのに遠くに来たようにも感じます。そんなところもいいかな。
茅ヶ崎は縦に長くて、海もあるけど、山もあるんです!
そちらも見どころがありますよ。
(2015年10月22日「E-ne!MAPS 茅ヶ崎市在住の大人気絵本作家ヨシタケシンスケさん」より)
ヨシタケシンスケさんが絵本作家になるまで
絵本作家になるまでには、紆余曲折があったようです。
最初の出版はイラスト集だったそうですが、売れなかったそうです。
それについて
初めて絵本を出版したのが40歳の時なんですけど、それから10年前、30歳の時に初めてイラスト集を出させていただいて。これが、まあ売れなかったんです(笑)。
と言っています。
ご自分の作風については、絵本作家の中ではかなり異質な存在とおっしゃっています。
原画自体の、絵が小さかったり、自分を色つけていないそうです。
いろんな方の原画展に行ってみるとわかりますが、通常原画は絵本より大きく絵本にするためには原画を縮小するものだと思うのですが、ヨシタケシンスケさんの場合はそうではないと。
ヨシタケシンスケさんの場合、絵本にするために原画を拡大し、場合によっては、なんと200パーセント拡大することも!
また、絵本の色はデザイナーの方につけてもらっているという意外な事実。
ヨシタケシンスケさんは線画まで。
あとの色付けなどはデザイナーさんにやってもらうという分担になっているそうです。
意外な感じもしましたが、なるほどなぁと思える気もします。
このように絵本作家らしいことができないので、新しいものの見方とか付加価値をつけていこうと考えることに。
この付加価値という発想は社会人だった頃、”自分の言いたいことだけを言っても誰も見てくれないことを経験”したことが影響しているそうです。
当時は、環境の変化からストレスが溜まり、それをイラストにして文章を添えるようになったそうです。
内容は上司の悪口!
読んでみたかったですね。
そして、その頃書いたイラストをミニコミみたいにして販売すると、それがある編集者の手に渡ってイラスト集『しかもフタが無い』(PARCO出版)が発売まで進んだそうです。
同じころ、週刊文春の14年続いた長寿連載『ツチヤの口車』のイラストを担当するようになりました。
当時を振りかえり、次のように回想しています
文章を読まなくても、絵だけで面白さがわかるものに、一コマ漫画として成立しているものにしたい。あそこまで自由にやらせていただけるイラストの仕事って、滅多にないので。この連載の仕事のおかげで、イラスト・絵本の仕事ともに「できること」が増えている感覚があるんですよね。
イラストレーターって、どんな時でもイラストのサイズにしろ、内容にしろ、制約があって。それをすべてクリアしたうえで面白さ、自分らしさをやんわり入れこめるのが、イラストの質につながると思っています。その考え方でずっとやってきたことが、絵本にかなり生きているんですね。
ヨシタケシンスケさんの絵本の原点は週刊文春のイラストが大きく影響していたのですね。
そこから絵本を書く話に進むのですが、最初に絵本の依頼があったのは『りんごかもしれない』より前だったそうです。
実は、『りゆうがあります』(PHP研究所)を担当した編集者の方から先に「絵本を描きませんか」と声がかかったそうですが、描ききることができなかったので、「私にテーマをください」とお願いをしたそうです。
『りんごかもしれない』もテーマをもらって書いてますね。
最近は、自分でお題を決めていることが多いそうです。
もう一つの書くきっかけとなった要因は、子育てをしたから、だそうです。
いくつかその思いを紹介します。
僕の場合、絵本は小さい頃の自分に向けて描くのが基本的なスタンスです。(中略)それで自分もやっていたし、教えてもいない、この子も同じことをやってるってことは、結構みんなやってることなんじゃないかっていう、裏がとれる。
子育てをしている時、何が一番ホッとするかというと、ほかのママやパパからの「いやウチもそうだよ。大きくなったら、すぐ直るから」みたいな一言なんですよね。
僕の絵本でも、「不必要な笑顔を描かない」というのは、ひとつのポリシーになっています。
必ずしも笑顔を使わなくても、楽しさを表現できるはず。「安易に笑わせてなるものか」というのが僕の中にあるんですね。
まさにそれは自分が子育てをしていて、子どもにイラッとするけれども、決して憎んでいるわけではないっていう感情から気がついたことです。
表情だけで、簡単にラベリングできるような「笑顔=幸せ」ではない。絵本に出てくるしかめっ面を見て、読んでいる方が笑顔になればいいんです。
絵本作品を描くにあたっては、次のように語っています。
日常の延長線上にあるささやかな出来事を、「身もフタもないようなことってあるよね」って言いたいんです。
逆に言うと、その身もフタもないようなことをちゃんと笑い飛ばすようなことができれば、意外とそれが幸せへの近道になるんじゃないかと思っていて
このスタンスが、私にとっては共感できる内容になっていて、実際多くの方にも届いているのでしょうね。
(「文春オンライン」編集部:絵本作家・ヨシタケシンスケ 30代で売れなかった僕が40歳で絵本を出版するまで 絵本作家・ヨシタケシンスケ インタビュー #2 より)
ヨシタケシンスケさんの家族
ヨシタケシンスケさんの奥さまはデザイナーの吉竹祐子さんです。
Bright Choice(ブライトチョイス)に奥さま吉竹祐子さんのインタビューがあります。
ヨシタケシンスケさんの家には、お母さんが絵本の読み聞かせのボランティアをしたり、自宅を文庫として子どもたちに開放したこともあり、子どもたちには読みたい本や、子どもたちに見せたい本は、借りるのではなく買うようにしているそうです。
本を買うことは、本を通じて思い出をさかのぼることもできる、と考えているそうです。
素敵な考えですね。
ヨシタケ家の本の担当はご主人のシンスケさんで、マニアックで変な本をよく買ってくるそうです。
わかるような気がしますし、どんな本なのか興味があります。
案の定というか、買ってきた時には役に立たないことが多いそうですが、子どもたちの興味にマッチすると、その本を出してきて、楽しんでいるそうです。
子どもだから絵本、大人だからもっと難しい本、という垣根はなく、大人向けのマニアックな、読めば難しいことが書かれている本でも、興味を持った時にタイミングよく差し出せば、子どもはものすごく食いつき、むしろボロボロになるくらいに読んだりもします。
この本に対する考え方、姿勢は、とても興味深く私も同じように考えています。
最後に、子育てについて、
子育てをする上で<タイミングを逃さない>というのは、とても重要な気がしています。なかなかその<タイミング>を見つけるのは大変なのですが、日常の何気ない会話や、子どもの行動を見ていると自然と見つけられるのかもしれません。まだまだ成長過程にある息子たちですが、この先、どんなことに興味を持っていくのか?タイミングを逃さないよう見守っていきたいなと思っています。
ヨシタケシンスケさんの影に吉竹裕子さんあり!
素敵なご家族です!
ちなみに、息子さんの二人には皇室にあやかって御印をつけ、長男君は”ひょうたん”、次男くんは”くり”だそうです。
(参考:Bright Choice(ブライトチョイス):ヨシタケシンスケ邸の風変わりな蔵書と、子育ての「タイミング」より)
ヨシタケシンスケさんの絵本作品
ブロンズ新社
「発想絵本」
りんごかもしれない(2013年4月)
ぼくのニセモノをつくるには(2014年9月)
もうぬげない(2015年10月)
このあとどうしちゃおう(2016年4月)
こねてのばして(2017年10月)
ころべばいいのに(2019年6月)
ねぐせのしくみ(2020年7月)
ぼくはいったい どこにいるんだ(2023年3月)
PHP研究所
りゆうがあります(2015年3月)
ふまんがあります(2015年9月)
なつみはなんにでもなれる(2016年12月)
おしっこちょっぴりもれたろう(2018年6月)
わたしのわごむはわたさない(2019年11月)
あきらがあけてあげるから(2021年4月)
白泉社
つまんない つまんない(2017年5月)
それしか ないわけ ないでしょう(2018年11月)
あつかったら ぬげばいい(2020年8月)
かみはこんなに くちゃくちゃだけど(2022年4月)
赤ちゃんとママ社
ヨチヨチ父 とまどう日々(2017年4月)
もしものせかい(2020年1月)
にげてさがして(2021年2月)
主婦の友社
本屋さんで探す「明日のカルタ」(倉本美津留文、2015年7月)
草思社
ことわざ生活あっち篇(あかいわしゅうご文、2016年11月)
アリス館
みえるとかみえないとか(伊藤亜紗相談、2018年7月)
光村図書出版
なんだろうなんだろう(2019年12月)
日々臆測(2022年12月)
ポプラ社
あんなに あんなに(2021年6月)
KADOKAWA
メメンとモリ(2023年5月)
集英社
おしごとそうだんセンター(2024年2月)
絵本の受賞作品
『りんごかもしれない』
MOE絵本屋さん大賞第1位
第61回産経児童出版文化賞美術賞
第8回(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞
第4回リブロ絵本大賞 第2位
第7回この本よかっ! 第2位
第2回静岡絵本大賞児童書新作部門 第3位
第3回街の本屋さんが選んだ絵本大賞 第3位
『ぼくのニセモノをつくるには』
第2回長野県本屋大賞CONTEMPORARY部門
『りゆうがあります』
第8回MOE絵本屋さん大賞第1位
『もうぬげない』
第9回MOE絵本屋さん大賞第1位
ボローニャ・ラガッツィ賞特別賞
第26回けんぶち絵本の里大賞
『おしっこちょっぴりもれたろう』
第29回けんぶち絵本の里大賞
『このあと どうしちゃおう』
第51回新風賞
など