絵本の魅力 子どもだけものではない絵本の魅力、大人にも効果がある、楽しめる絵本は!
絵本は子どものもの、そのような考え方が一般的だと思います。
私も絵本講師になるまではそう思っていました。
私の場合、幼少期、絵本を読んでもらった記憶もなく、家に絵本はほとんどありませんでした。
記憶の中にある絵本は「スーホの白い馬」だけです。
そんな私ですが、今思うのは、絵本は子どものものだけではなく、大人も楽しめるものです。
目次
絵本の楽しみ方
紙の絵本を手に取って読めば、絵のイメージと物語の世界観に引き込まれながら、心に刺激を与えてくれます。
ニコニコ笑ったり、オイオイとツッコミを入れたり、ふわぁっと晴れやかな気持ちになったり、きゅうっと胸が苦しくなったり、あふれる涙をこらえきれなくなったり、隠れていた自分の感情を呼び起こしてくれます。それは決して激しいものではなく、そっと、優しく語り掛けるように心に入ってきます。
子どもたちの絵本との出会いとその後の関わり合いは、自分で読むことよりも、お母さんや幼稚園・保育園の先生に読み聞かせをしてもらうことが多いでしょう。
特に、お母さんに読んでもらう機会が一番多いと思います。好きな絵本であれば、自分でも読んでいたかもしれません。ただ、この頃は、”読む”というより、”見て”、”覚えて””楽しんでいる”ことが多いようです。言葉を文字として覚えて読むのではなく、言葉の音(発音)と絵から頭の中にイメージして、口に出して言うことで言葉(文字)も覚えていくことになります。
お母さんに絵本を読んでもらうことは、お母さんと一緒の時間を過ごす、子どもにとってはかけがえのない時間です。その意味でも、絵本の読み聞かせの時間は、大切な時間です。小学校に上がっても、進級していっても、子どもにとっては、大好きなお母さんと過ごす時間はとっても大切な時間です。学校の勉強は勉強として、絵本を読むことは勉強とは切り離し、親子の時間を過ごすためのツールだと思って、読み聞かせは続けていただきたいですね。
本は読むもの、として「一般書籍」を読むことだけを勉強するのではなく、絵本やマンガ、図鑑などいろいろな”本”を楽しめばよいと思います。英語もそうですが、”勉強”になってしまうと、楽しさが失われてしまい、嫌いなもの、苦手なものになってしまいます。いろいろな教養を身につ行けるひとつの情報源として絵本はとても有効です。自分の知らないことが、優しいきれいな言葉で書かれていて、絵でそのイメージを見せてくれます。場合によってはイメージを拡げてくれます。
絵本は勉強ではなく、親子の絆を育むツールとして、ずーっと使ってほしいですね。
絵本の効果、大人にも読んで欲しい理由は?
絵本が子どもにとって良い理由は、脳科学や心理学でも言われています。
特に、6歳~7歳くらいまでで人の脳の成長を考えると、それくらいの時期までにより多くの絵本を読み聞かせが良いとされています。
その理由として、いろいろなこと考えられていますが、その中でも私が大切だと思うのは、
・親子の絆を強める(親子のコミュニケーションを深める)
・子どもたちの「心の脳」を育む
このふたつです。
絵本を読んでいる時間は、絵本を読む、聴くという、親子で一緒の時間を過ごす大切な時間です。子どもはい母さん、お父さんと一緒の時間を共有できるかけがえのない時間になり、親子のコミュニケーションも豊かになります。このかけがえのない時間を過ごすことで、子どもの自己肯定感もアップします。
そしてふたつ目の「心の脳」を育む というのは、言い換えるとEQ力(こころの知能指数)を育むと言えるでしょう。「心の脳」とは、心を揺さぶる感情に関係した脳の働きをさします。「心の脳」を育むということは、非認知能力を高め、相手の気持ちに共感し、コミュニケーションを図って、よりよく生きていくための力になります。IQを支える土台(人間力)と考えてもよいでしょう。
絵本の読み聞かせは、人間力を育て親子の絆をより深いものにする効果があると言えます。
この効果は、子どもだけのものではありません。親、大人にとっても同様の効果が考えられます。子どもが親にほめられるのが嬉しいのと同様に、大人にとってもほめられる(認められる)ことはうれしいものです。人間力は常に磨いていく必要があり、それはいくつになっても可能です。そのツールとして絵本は一番身近なツールになります。絵本を読むこと、読み聞かせてもらうことで人間力に刺激を与え活性化させて、より生きやすい力を育てることができます。
心に響く絵本、泣ける絵本
では、大人が読んでも心に響く絵本、泣ける絵本にはどのようなものがあるでしょう。
私がおすすめする絵本を5冊紹介します。
①『ふくびき』
くすのきしげのり・作
狩野富貴子・絵
小学館
おかあさんが大好きな幼い姉と弟。
やさしい弟と、正直であろうとしたお姉ちゃん。
そんな二人のために、福引の補助券を出し合う大人たち
そして、子どもたちのやさしい心や正直な心を受け取ったおかあさん
人の温かさ、ぬくもりをプレゼントで受け取れます。
➁『ずっといっしょ』
スムリティ・プラサーダム・ホールズ 文
アリスン・ブラウン 絵
俵万智 訳
WAVE出版
嬉しいとき、気持ちいいとき、いたずらしているとき、
むしゃくしゃしているとき、うきうきしているとき
悲しいとき、寂しいとき、迷っているとき…
ずっとそばにいるよ、ずっと一緒だよ
親が子どもを見守っている姿が描かれています。
③『最初の質問』
長田弘 詩
いせひでこ 絵
講談社
最初から質問が続きます。
今日、あなたは空を見上げましたか。
空は遠かったですか、近かったですか。
…
あなたにとって「わたしたち」というのは、誰ですか。
…
問いと答えと、いまあなたにとって必要なのはどっちですか。
質問を聴きながら、自問自答し今の自分を見つめることができます。
④『みどりのほし』
林木林 作
長谷川義史 絵
童心社
星がいろいろなところにある
夏ミカンのてっぺんに、いろんな野菜のてっぺんに
花がお辞儀をしたら、穴のあいた傘からのぞく星
葉っぱの星、僕はあまのがわを星と一緒に走る
僕は疲れて、星と一緒に草の上に大の字になる
星と手をつないで星座を作る
友達もきて、みんなで星座を作った。
ストーリーからも絵からも心に響くものがあります。
⑤『アライバル』
ショーン・タン
河出書房新社
文字のない絵本。絵コンテのようにたくさんの絵が連なるページと
一枚だけ大きく描かれたページが躍動感を高めてくれます。
文字がないことを感じさせたい絵の表現はいろいろな想像を掻き立ててくれます。
繰り返し読むうちに、自分お中のイメージも深まったり変わったりするかもしれません。
そのほかにも紹介したい絵本はたくさんありますが、また、別の機会にしましょう。